青空のむこう

訳者の名前を、何処かで見たことあると思ったら、前に読んだ「真景累ヶ淵」の現代児童書版書いた人か。「豚の死なない日」の翻訳もこの人らしい。

翻訳本も自著も多くて、児童書界の有名人なんだな。おまけに娘は「蛇にピアス」の金原ひとみなのね。飲み屋で人に教えてもらった本だが、本の世界は面白くつながるものだ。

 

児童書で「死」というのは、モチーフになりやすいものなのだろうか。まあ、子供主役にビジネス本作るわけにいかないし、勉強の仕方を淡々と語る子供が出てくる児童書ってのもゾッとしないから、家族や生存についてフューチャーされるのは自然か。

子供は生命力に溢れて死からもっとも遠いようでいて、保護され生育されないと生きていけないという点で、実は死と近いのか。

自身を思い返せば、親や周囲の庇護がないと生きていけない子供時代というのは、独特の閉塞感と焦燥感があり、天真爛漫など程遠く、大人になった今よりずっと生きずらかった。

本作は突然死んでしまった少年が、やり残したことをするために下界?に舞い戻り、同じくやり残したことを探す少年とともに様々な場所に行き、あれこれ奮闘するストーリー。

生き生きした(死んじゃってるけど)子どもらしい子どもの少年は、全く悲壮感がなく、屈託なくしたいことをするものだから、設定の割に軽やかに読み進められる。

もしかすると不幸にして早くに家族を亡くしてしまった人に、亡くなった人はこう思ってるよ、大丈夫だよと思って欲しくて書かれた物語なのでは、と思いながら、悲しみや寂しさとともに、さわやかな感覚を残し読了。

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