あるかしら書店

町外れのその本屋には、本にまつわる本ならなんでも置いてある。ちょっとめずらしい本。本にまつわる仕事。本にまつわるイベント。本にまつわる名所。本そのものについて。図書館・書店について。

 

『書店婚』と『読書草』と『お墓の中の本棚』と『水中図書館』が好きだな。人気絵本作家のヨシタケシンスケ氏による、本の、本による、本を読む人たちのための絵本である。

 

純粋に楽しめる内容であるのだが、良く見ると本読みと世間に対するすこしシニカルな視点が入っているのも面白い。

 

欲望丸出しの本のカバーをいい感じに変更してくれる器械とか。夫の蔵書の多さに困った奥さんのために活躍(暗躍?)する古本屋とか。最近話題の読書感想文をモチーフにした鬼とか。「本を好き」って言うのが好きな人とか。「図書館に行ってきた」と誰かにちょっと自慢したい人とか。

 

あげくオチは『大ヒットしてほしかった本』か!作者さん願望がダダ漏れになっておりますが、、これ本来は『ラブリーラブリーライブラリー』と『本屋さんってどういうところ?』で終わりにしてもいい話じゃないか?笑。

 

本を読むなんて(勉強してるみたいで)エライねという一部世の中の称賛や、本を読んでいる私ってイイみたいな人に評価されるための読書という見方が、本を読む人が本当に減っていることを表しているようだ。

 

そしてどんなに良い本でもマニアックな人に喜ばれるだけでなく、やはり売れることが大切なんだという強烈な暗喩であると言えなくもない。

 

絵本というのは少しの毒を持っていた方が魅力的だ。その意味でもこの本は人気なのがわかるような気がする。ちょっと直接的なきらいはあるけれど。

 

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