幸せなひとりぼっち

連休の終わりにいいもの読んだ。クスクス笑いながらじんわり泣いた。これは名作だ!みんな本当に読んだ方が良い。

えー、これは孤独な独身女性が自らの人生を見直す系の話 笑 ではありません。

スウェーデンのすこぶる頑固で偏屈なじじいが愛妻を失い、生きる気力をなくしていたところ、お節介な周りの人々や猫に救われ、今までの自分の能力を頼られ必要とされ、奥さんの後を追い損ねて、幸せな生を生きることになる話です。

こんな頑固オヤジそばにいたら困るわ〜。でも59歳ってそんなに年寄りじゃないよね。20年ひと世代とするなら同世代か。年寄りだから頑固なのでなく、主人公オーヴェがオーヴェだからなのである。

時々見かける設定だけに、ちょっと安易にステロタイプな話を想像していたが、これはちょっと違う。

短い章で過去と現在を行き来することで、オーヴェがガンコで偏屈になった理由が丁寧に描かれる。

このそれぞれの章のタイトルがなかなかいい感じ。「オーヴェという男、コンピュータでないコンピュータを買う」などなど。内容がわかりやすいので、あの場面もう一度読みたい!という時にも便利。

若くして両親を失ったオーヴェ。孤独に生きていた若き日に、妻となるソーニャと出会い世界が色づいていく様子。ソーニャとの幸せな日々と、訪れる再びの不幸。

偏屈なばかりかと思っていたオーヴェの、意外とも言える情熱的な奥さんへの愛。それだけに不幸が訪れた後、オーヴェの哀しみがいっそう胸にしみる。

そんなになか、隣の家に引っ越してきた一家との出会いをきっかけにオーヴェの日常は変わっていく。

このご近所さんたちがみんな魅力的。パルヴァネの肝っ玉母ちゃんぶり。子どもたちの愛らしさ。パトリックのトンチンカン笑。イミーの意外な頼り甲斐。過去の思い出の中での、悪い奴をやっつける時のオーヴェとルネとの息の合いっぷり。

彼らに振り回されて文句を言いながらも守ろうとするオーヴェにジーンとしたり、クスクス笑ったり。みんながストーリー展開の上で一役かっていて、無駄なエピソードもない。

懐古主義だけでなく、文句言いながらも最新のモノにだって頑張って挑むオーヴェ。「あの子には最高のものでないといけない!」にしびれて笑った。

軽すぎず重すぎず、絶妙のユーモアとペーソス。私この本だーいすきだ!!年間ベスト10に入るだろうな。今回は図書館だが本屋でさがすリストに入れるの決定。

 

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