暗殺者グレイマン

あんまりにも梅雨が梅雨らしくて腐りそうだったので、何か景気のいい派手なもの読みたいと呟いたら教えてくれて人がいたのだ。素晴らしい!これですよ、今、私が読みたかったのは。

元CIAで凄腕の殺し屋、コートランド・ジェントリー。人呼んでグレイマン(目立たない男)。どこにでも同化することができて、どんな危機的状況でも確実に任務を遂行する。

暗殺する相手は、テロリストやその親玉、白人の奴隷商人、麻薬や違法な武器の密売業者、ロシア・マフィアの親分。超法規的な処刑によって罰せられるのが当然だと考えられるターゲットにかぎって、殺しの契約を引きうける。

しかし、子どもにはよわいぜ。どんなに危機的状況でも、子どもに助けを求められれば万難を排して駆けつける。作品中、恐らく唯一の笑顔のシーンにシビれるわ。

ある暗殺をきっかけに、命を狙われることになるグレイマン。狙うのは世界各国の精鋭暗殺部隊。包囲網は縦横無尽にすきなく張り巡らされ、事態を打開するのは到底無理だろうと思われた。

唐突な自分語りで恐縮だが、私は寝不足や疲れが溜まるとすぐに身体が炎症を起こしやすくなる体質だ。そんな人間から見るとジェントリーは間違えなく化け物です。

銃で打たれた後に、腐った水に浸かっても炎症を起こすことなく、ガラスで手足を深く切って何キロも歩いて、肋骨折れて、ナイフで刺されたけど、運転しながら麻酔なしで縫合してもらうぜ。縫ってもらったからもう大丈夫、全力で戦闘するんだぜ。

安心してください、彼、死にませんから(いや、わかりませんけどね)。ボロッボロなんだけど、この人絶対死なないという心理的安定感。これぞアメリカ的ヒーロー。これぞハリウッド的スター。

トラウマや壮絶な過去など、めんどうな鬱展開はナシ!いや、あったか?あったかもしれないけど覚えてない。鬱々とするのは気候で間にあってるからいらない。ドカーン!ガシャーン!!ズババババーン!!!と続く戦闘シーンがすべてを吹き飛ばす。

そんな鉄みたいな人間いるかよ!とか、ホントに貴国はタフな男好きだよねとか、設定での仮想敵国はやはり彼の国なんですねとか、そんなことはどうでもいい。この作品のド派手なアクションとグレイマンの無敵ぶりをただただ楽しめばよい。

危機につぐ危機を、超人的主人公が一点突破していくお約束が展開されて読者を裏切らない。アメリカ的水戸黄門スタイルとでも名づけたい。むつかしいことはいいんだよ!イイ感じに頭がからっぽになった。こういう読書体験アリです!!

 

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