辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

インテリ歴史オタクのおっさん二人が、飲み屋で存分に持論を戦わせてるような本。あ、もちろんお酒は入ってないはず。

でも、こういうオタクの人たちが、マニアックな知識と経験をもとに、好きなように語ってくれる歴史は、なぜこんなに面白いのか。

歴史書にはさまざまな観点がある。経済、政治、文化、戦争、流通、言語。どこに着眼して、誰に向けて、何を書くのか。

今流行りの『サピエンス全史』や『銃・病原菌・鉄』のようなグローバルヒストリーではなく、歴史からこぼれ落ちる世界のリアルを見ていった方が、面白いじゃないかってお話。

だいたい辺境とは、どこから見たときの、だれにとっての辺境なのか。

辺境というと、経済的や文化的にそれほど豊かだったり、進んでいないイメージを持っていた。

強大な支配から逃れるため、あえてリーダーを設けず、「窓口」を作らないことを選択する人々。

有能なリーダーをおいたら、支配階級の無理な要求にも、こたえられちゃうかもしれないものね。

遊牧民は社会全体の流動性が高いため、コミュニケーションツールとしての文字は、必ずしも必要しなかった。

決まった時期に、年貢や税を納める伝統の中で生きないなら、意思疎通のための文字は必要ないし、階級社会も必要ないのだ。

だからといって貧しいかというと、決してすべてがそうではなく、交易の境目である辺境には商人もいて、その人たちは結構お金持ちだったりするそうだ。

貨幣が普及していくのは、平地エリアより山間部エリアの方が先だったりすることもあるらしい。

う~ん、辺境って実は、ごく効果的であり、世界の最先端だったのではないだろうか。

『ゾミア 脱国家の世界史』 ジェームズ・C・スコット

『世界史の中の戦国日本』 村井章介

『大旅行記』 イブン・バットゥータ

『将門記』 作者・成立年不明

『ギケイキ 千年の流転』 町田康

『ピダハン 「言語本能」0を超える文化と世界観』 ダニエル・L・エヴェレット

『全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記』 松本武彦

『日本語スタンダードの歴史ーミヤコ言語から言文一致まで』 野村剛史

題材図書の全部は、到底読めそうにないので、歴史オタクおじさんたちのかみ砕ききり、私見も入りまくった対談集を読んで、今後とも、「へ~」と言いたいのです。

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