あまり好みではなかった。なぜなのかを考えてみた。
私はもともとファンタジーがあまり得意ではない。現状の理屈とは違う理屈で進むストーリーは建設的な対応策が取りづらい。
考えても考えなくても、行動しても行動しなくても、起こる結果に関連性がなく、行動したもの損になるような話は好きではないのだ。
この話はファンタジーだと思うのだ。ディストピア物と言うんですかね。核戦争か何か(この、『か何か』がもう嫌だ笑)で地球上の大半の生物が死に絶え、生き残った人間たちはお互いの持ち物を奪い合い地獄みたいに生きているという。
その地獄みたいな世界を、父と幼い息子は暖かい土地、あるいは何処かにいるかもしれない善い人間を求めてさまよい歩く。これは世紀末のロードムービー的作品なのだろう。
鳥も魚も虫も植物も生きられない環境で人間が生き延びられるものだろうか?ましてや子どもが??
なんでこの親子はクッソ寒そうなのにすぐ川や海で泳ぐのか?入浴的な意味?
もうダメだー、飢え死ぬ!!と思うと、どこからともなく出現する、まだ荒らされていない食べ物を貯蔵してある家。前後の説明もなく脈絡を感じられない。
不健康そうな悪党は生き残り、人間狩りしたり人間牧場作ってたりするけど、まともな人間はみんな早めに先に逝っちゃったの?
うーむ、ファンタジー。。と言うとファンタジー好きな方には違う!と言われるだろうか。
途中からダメなウ○ーキングデッド見てる気持ちに。危機に次ぐ危機のインフレは逆に危機感を麻痺させる。
ちなみに私は相談事を聞くときにすぐに具体策を考えてしまい、ただ話を聞いて欲しい人の話を「うんうん、大変だったんだね」と聞くのが苦手だ。
この物事をあるがままにするのではなく、すぐ是正しようとする性格が本作には不向きだったのではないかと一応結論づけた。
平和へのロマンティシズムと世紀末の退廃感をそのまま味わえる、豊かな感受性の人に向いていると思うピュリッツァー賞受賞作だった。