クリスマスのフロスト

クリスマスのフロスト
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最近Amazon primeがアンタ「科捜研の女」好きだろう見ろ見ろと言ってくるのだが確かにわりと嫌いではない。

 

沢口靖子演じるいくつになってもアンドロイドかなというくらいの美女がいまいち空気は読まないまま法医科学を用いて事件を解決していくシリーズ。いつもおやつと事件のヒントを持ってきてくれる若村麻由美も好きである。

 

何度も見ているのに「相棒」や時代劇を見てしまうのも同じ現象だと思う。何年かのスパンで水谷豊演じる片山右京さんの相棒が変わったらもするが、小さいことが気になってしまう悪癖を持つ右京さんとともに相棒が事件を解決していくという設定はずっと同じである。

 

つまり私はお約束を愛しているのであろう。個性の際立った主人公がお馴染みのメンツと協力(もしくは反発)しつつ事件を解決する。そこには予想外の大きな展開はあまりない。

 

どんなに酷い事件が起ころうともこの人物が最後には最低限何とかしてくれるという緩めの信頼感をもって成立する安心感。というわけで私はフロストのことも割と愛している。

 

ステレオタイプな英国人のシニカルな様子はフロストと相性が悪いようで、それありえないからね!空気読めよ!的な周囲の雰囲気を、フロストがわかっていたりしなかったりしながら無視してぶっ飛ばしていく。言いたいことがあるならちゃんと言わないと彼には通じないんやで、いや言ったからっていうこと聞くとは限らんけども。

 

余談であるが警察小説やドラマにおいて登場人物が左遷されると資料整理室のようなところに飛ばされる様子がよくある。実際のところ、そんなことがあるのかは知らない。しかし長い目で仕事を見れば資料整理より大切なことはあるのかと常々思う私としては、左遷の罰として行うような人事ではないだろうと思うのである。

 

フロストの絶望的な資料整理能力のなさは同僚にいたら絶対嫌だが、それでもろくに寝ずに働きに働く彼の必死さを見ているうちに情が移り仕方ないなと思うに至ってしまう。

 

長く続くお約束の物語はどうしても少しずつエスカレートしていってしまうことがある。本作はフロストシリーズの第一作だがシリーズも最後の方になるとそんなに悲惨な事件ある?フロストボロボロじゃないの?!というふうになっていったりして胸が痛くなったものである。

 

しかしその胸の痛みの中に、このだらしないけど憎めないおじさんに対する愛着も含まれているのだろうなと思うとやはりマンネリとは偉大なものだと思うのである。

 

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