バーバーハーバー

 大阪万博、開催決定記念で読み返した。
 この漫画、主な舞台は大阪の千里 。太陽の塔が見える街だ。本作で太陽の塔はシンボル的な存在。とはいえ、あの「芸術は爆発」的なアバンギャルドなイメージではなく、街に住む人々を見守るまさに太陽のような存在として。


 主人公の鹿崎 東子(マスターの妄想では勝手に塔子にされている)は製薬会社勤務。見た目はふわふわ系のかわいい女子だが、バリバリの営業でよく喋るし、決して気は弱くない。しかし、どこか女子としてのツメが甘く、遠距離恋愛で久しぶりの彼氏とのデートに行くのに顔にヒゲ(産毛)が生えているのに気づき、顔そりのために入った床屋でマスターと出会う(おまけに ヒゲどころか鼻毛まで生えているのを彼氏に指摘され、早々にフラれてしまう)。

 本作の主な主人公は東子とマスターだが、脇役を含めて1話ごとに主人公は変わる。何といっても、この床屋のマスターが非常にいい雰囲気。日常の中のちょっと素敵なことを見つけると「え〜な〜♪」と自分の空想の世界を膨らませ、うっとりしてぼーっとしてしまう。東京で忙しく営業をして、終始ピリピリ気味だった東子は最初こそ、マスターにイライラするが、日常を楽しむ術を知っている彼にいつの間にか惹かれていく。

 凝り性なんだろうな、この作者。この漫画には理容業、酒、料理、とんぼ玉、編み物、詩、植物、英語、猫、さまざな雑学がバラバラバラバラ出てくる。その手の雑学話を読むのが好きなもので、ついハマって、モーニングでの連載当初からとても楽しく読んでいた。

 登場人物たちは東子もマスターも、ちょっとダメな人たちだ。ツメが甘いし、人の話を聞かないし、デリカシーがないし、すぐ同じ失敗をする。落ち込んでヤケ酒したり、現実逃避したり。二人を取り巻く友人たちも、ひどいヤキモチ焼き、女好き、余分なこと言いや、浪人生でパチンコにハマる魔性の美少女など、キーワードだけ拾うとろくでもない人間ばかり。

 みんなが失敗しながら、なんとか変わろうともがいたり、変われない自分を受け入れたりしながら、最終的には、それ、なかなかずうずうしいよね笑、というしぶとさで日常を楽しんで生きていく。このしぶとさが良いのです。

 この作者、ちょっと変態かだいぶ変態、もしくは、ちょっと病気かだいぶ病気のクセのある登場人物を描くことが多いのだけど、本作は珍しく病んでない登場人物がほとんど。太陽の塔に見守られながら、いろいろあってもしぶとく明るく生きる人々。そんな人々を見ていると、よーし私も頑張るか!と素直に思える癒し系、雑学漫画なのです。

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