暗殺者の正義

究極の行き当たりばったりヒーロー。いやもう「生き」当たりばったりと書きたいくらいだ。アンタ主人公じゃなかったら何回死んでると思ってんだと、小一時間説教したい。

 

ジェノサイド(大量虐殺)に関与したとされるスーダン大統領。ロシアンマフィアの指示で暗殺するふりをして、拉致してCIAに引き渡したら復帰させてあげるよと言われた一匹狼の暗殺者グレイマンことコートランド・ジェントリー。

 

唐突に理由もわからず見捨てら追われることになったCIAだったのに、やっぱり戻りたかったのかね。

以前の上司にどつかれたりしながらも、結局依頼を受けることにするジェントリー。

 

スーダンへの空路の途中で出会ったおてんばICC(国際刑事裁判所)特別捜査官のエレン・ウォルシュ。

逃亡するために彼女を軽い気持ちで陥れちゃったばっかりに、さらわれた彼女を行き当たりばったりに救出に向かうことになる。

 

俺はちゃんと納得しないと暗殺引き受けないゼ、と言いながらもそんな都合よくいくはずはなく、組織の都合と自分の詰めの荒さで計画を順次修正せざるを得なくなっていく。

この話、いつ本筋に戻るのかなと思いながら読み進める。

 

砂漠で砂埃に巻かれてボロボロになりながら、あっちウロウロこっちウロウロ。

CIAとマフィアにどやされながら、ほうほうの体でたどり着いた先でやっと大統領を拉致するけれども、今度はまたえらい旧式の武器でイヤ目の傷を負ってしまいますます絶体絶命に。

 

強いて印象に残ったことは、大統領の言った「お前の人殺しと俺の人殺し何が違うんだ?」ってヤツだな。

たしかに俺の人殺しだけは特別なんだとか言い出すとテロリズムの始まりだよね。

 

そう考えると、この行き当たりばったりヒーローは、迷っててんやわんやしているところが人間らしいということなのか。

悪いヤツじゃないのはわかるのよ。しかしなんとも隙の多い主人公だ。最近思うんだけど、派手なアクションやハードボイルド系の主人公って、意外におっちょこちょいが多いよね。

 

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