キーワードは血縁関係のない親子と雨。傷つき、コミュニケーション不全に陥った人々のすれ違い。それに紛れこむ本当の悪とは。
急な事故で唯一の肉親である母親を亡くした兄妹。母親と再婚したばかりの継父は酒に溺れ、2人に暴力を振るい、部屋に閉じこもるようになった。
とある雨の日、兄はあることがきっかけで、ガス給湯器に細工をし継父を殺そうとする。しかし、それは悪夢の入り口だった。
もうひと組の兄弟も母親を亡くした後、父親が再婚した継母に育てられている。継母と再婚した後、父親も病で亡くなり、こちらも血縁関係のない親子が残された。
もうこれ以上悪いことは起こらないだろうと思った兄弟妹たち。その悪夢には、二段三段先があった。
内容が重いわりにさらりと読めるが、もう一歩踏み込んでも良かったのではないかしら。伏線全部回収されたっけ?締めの救いと断罪もちょっと物足りないな。
ミステリーに寄せるのか、家族ものによせるのか。バランスというのはなかなか難しいものだな。はじまりはいつも雨。みたいな感じで言われちゃ、雨にしたって荷が重いわね。