お金2.0 新しい経済のルールと生き方

この間読んだサブプライムローンの狂乱を描いた「世紀の空売り」があまりにも分からなかった直後に読む機会があったので、おっ!ちょうどいいや。あわよくばこちらもよくわからない仮想通貨のことも少しわかるかなという助平心で読んだ。

難しくないのに、思っていた以上にちゃんと経済やお金や生きることの価値観について語ってある本だった。著者は民間企業の経営者だが、文章読んでると学識者かなという印象も受ける勉強家の人の様子。

著者は、近現代の中央集権化された国家による経済を管理する仕組みは、万人が情報を共有できない社会情勢だったから生まれたものであって、インターネット等により万人が情報を得ることが可能になった現状においては既に合わなくなってきていると言う。

ましてや戦後や恐慌などで物を持てなかった人々が大多数を占めていた時代と、ある程度の衣食住が約束された現状では、人が求めるものが変わっているのだから、対応する方法も変わっているのだと。よく、仕事する上でお金は多くいらないから休みいっぱいちょうだいって人が増えてるのは言われてる話よね。

資本主義が行くとこまでいって、稼ぐ人は異常な額のお金を稼いでるのに、大多数の一般の人々はシェアリングエコノミーとか使って、なければないなりに上手いことやっていくので十分に満足したりして、お金を稼ぐことにも使うことにもあまり執着がない。

それよりも一介のシステム好きだった学生が自分の思うように作ったものが、世の中に大きな影響を与えるものになったり。SNSの世界で多くのファンを持つ人が、トークンとか呼ばれるその世界の代用通貨で巨万の富を築くことになったり。好きなことを突き詰めて新たな方法を見つけだしたり、自己承認欲求を最大限活かしたりする方が、価値があると思う社会になっているんだと著者は言う。そして結果的にはその人たちが成功者とみなされる世の中になっているのだと。

今までみたいにお金稼ぐためにお金稼いでても、あんまり儲からないよと。自分の好きなことを、独自のやり方でやる方法を見つけられる人が、結果的に儲かるかもよって話かな。結論から言うと金融のことと、仮想通貨のことはあんまりわからなかったけど、世の中で断片的に述べられているお金や価値観の変化について大きな流れとしてわかったような気がするので有用な読書体験でした。やはり、よく売れる本には理由があるね。

作中で述べられる、イギリスの作家ダグラス・アダムスが残したと言う言葉が興味深かった。「人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じ、15〜35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる。」自分はすでに自然に反するものと感じる世代。さて、どこまで世の中についていけるかな。

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