ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます

ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます
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あの西原理恵子とゴールドマンサックスのエリートストラテジストが同じことを言っていて少し可笑しくなってしまった。女性たちに「白馬の王子様は迎えに来ないよ。自分で生きる力を身につけなさい」だそうだ。興味深いのはこの少子化の時代に彼女たちはどちらもお子さんが複数いらっしゃるのである。

 

最近はオードリー・ヘップバーンの「マイ・フェア・レディ」が若者の間でありえない、キモいと言われたりしているらしい。経済的、環境的に不自由していない中年男性がそうでな年若い女性を教育して彼女の能力を開花させ二人が愛し合うようになる。そんなのファンタジーか妄想じゃないかと若者は感じるのだ。

 

ハリウッド版「マイ・フェア・レディ」ではヘップバーン演じるイライザはヒギンズ教授と結ばれるが、バーナード・ショーによる原作「ピグマリオン」では、物語の最後イライザはヒギンズ教授を捨てて独立していく。確かに現代に置き換えてみれば原作の方がピンと来る。

 

「キープ・ユア・ヘッド・ダウン」頭を下げて黙々と自分のやるべきことに集中していれば、見えない手があなたを引っ張り上げてくれますよというこの教訓。まだ見ぬ王子様の迎えを待つようなナンセンスなやり方はもうやめましょうよと著者は女性に言う。

 

ここまで勢いよく書いたもののこの本はフェミニズム論の話ではない。近い将来深刻な少子高齢化に見舞われ確実に働き手が不足する日本において、優秀な女性に仕事を担ってもらうために、女性を部下に持つ管理職の心得が書かれたもったいない精神人材育成の適正化が書かれているように思う。

 

唐突だが経済アナリストというのは穏やかに話す人が比較的多いのか、朝のテレビで流していると喧しくなくてよい。よくわからない経済の話をわかりやすく解説してくれるので、全部はわからなくても(ほとんどわからなくても)ざっくりと興味深い話が聞けるので好きなのである。興味のない芸能情報などを聞かなくて良いのが気に入っていて、もっぱら朝はテレ東派である。

 

テレ東の経済ニュースには経済アナリストとしてかなりの割合の女性が出演している。ダイバーシティだからわざわざ女性出してますよ、というわざとらしさがなく本当にこの人仕事できるのだろうなと感じる人ばかりである。その中でも特別ゲスト扱いで出演していた著者は印象が強かったのでこの本を読んでみたのである。

 

 

ゴールドマン・サックスがなぜ90年代半ばから経営戦略としてダイバーシティに取り組んできたのか。それは常に優秀な人材の確保すること。すべての社員にとって働きやすい職場を作ることが業績の向上につながること。多様性によりイノベーションが生み出されることが企業の成長にとって重要である考えたからのようだ。

 

せっかく優秀な人間を採用しても、優秀であればあるほど職場に満足できなければ離職して会社を離れていってしまう。人を採用するのも育てるのも時間とお金がかかるのだ。勿体ないから丁寧に育てようという話だったら面白いなと思いながら読んでいた。

 

せっかく育てた人材が女性であることが原因で離職してしまうことを防ぐためにはどうすれば良いのか。女性には出産という年齢制限のあるライフイベントがあるため30歳前後で離職するケースも多い。

 

管理職にとって女性を部下に持つ時は、男性と少し違った対応が必要だと著者は言う。

 

女性の活躍のためにはトップが旗を振り役を。男性社員よりも少し多めに励ます。優しくしすぎない。社内に女性社員のネットワークを組織する。女性社員はセルフプロデュースが苦手と心する。メンターをつけてみる。

 

実際のところのあの会社は超人の集まりで一般的な企業とは比較にならないアレコレがありそうではある。そんなことはわかっているけど簡単には出来ないよとか、それが出来るのは御社だからでしょうよとか様々な意見が上がりそうだ。しかし実際に性差がある以上、対応を適したものに変え仕事がしやすくなって労働人口が増えるのであればその方が良いではないか。

 

女性にとって働きやすい会社は男性にとっても働きやすい会社であるという著者の弁だけは大中小問わず企業というものの真理ではないだろうかと思うのである。

 

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