ナイトホークス〈上〉

ハードボイルド好きの人々の中で、長く人気のシリーズのようなので、すごく男らしい主人公なのかと思っていた。ハリー・ボッシュ。意外と繊細だし、女々しく、ヤキモチ焼きだし、食が細い 笑。


マイクル・コナリーのハリー・ボッシュシリーズ、少し調べたら順番は守って読んだほうが良いらしいので、ちゃんと1作目から読んでみた。言われたことは守るほうです。

ヴェトナム戦争帰りの刑事ハリー・ボッシュは、TV番組に取り上げられたり、有名な事件を解決したりと、名の知れた存在だったが、ある事件をきっかけに左遷され、ハリウッド署で鬱々としていた。

ある日ボッシュは、貯水池のそばのパイプの中で見つかったジャンキーと思われる死体の捜査に当たることになるが、実はその人物は、ヴェトナム戦争時代の仲間だった。

捜査の過程でFBIのエレノア・ウィッシュとバディを組んで捜査に当たることになる。

この ウィッシュに対して、結構早い段階から意識しちゃって、あの上司は恋人かなとか、まだ何も始まっていないのに気を揉んだり、自分の過去を指摘されて赤面しちゃったり、食事に誘って断られたらキツく当たってみたり、めんどくさいなあ、もう笑。でも、ウィッシュに会うときに髪型整えちゃったりするボッシュ可愛い♡

邦題はナイトホークス。

ナイトホークス(夜ふかしをする人たち)と言えば、エドワード・ホッパーの、深夜のダイナーでカウンターに座っているカップルと一人の男と店員を描いてる絵だ。好きな絵だった。なぜ、好きなのかわからなかったけど、本作を読んで少し整理が出来た。

ボッシュはこの絵の中の一人で座る男に、自分を重ねる。カップルの方ではなく。自分は一匹狼だ。深夜の人の少ないダイナーという、元々孤独な場所の中でも、さらに孤独なのだと思っている。

それでも夜遅くに外出して店にいるということは、温もりを求めているのだと思うが。エドワード・ホッパーの描く光が、自分は孤独だと思っている男の、人との温かい関係に対する憧れを表しているようだ。

ボッシュと同じように、一人で座る男に自分を重ねるウィッシュは、ボッシュと孤独を重ね合わせるように恋に落ちるが。

エドワード・ホッパーのナイトホークスの絵は、隠れ家のようだ。人がいない夜の街並みの中で、一人であっても二人しかいなくても受け入れてくれる場所。ボッシュとウィッシュはお互いのそんな場所になれるのか。

思っていたより繊細で傷つきやすい男のハードボイルドは、なかなかに面白い。事件は思いがけなく銀行強盗事件へと結びついていき、目撃者やボッシュの邪魔をする市警の人間たちを巻き込んで進んでいく。下巻へ続く。

 

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