キョーレツなカンフル剤ってこんな感じ?いや、もはやそんなレベルでなく効果も強いが副作用も非常に強い常人は使ってはいけないオクスリのような小説だ。
全くもって強烈な話ばかりである。読んでいて何度も心の中で「あ〜あ〜…」と喚いていた。あまりに残酷で痛くて見る(読む)に耐えないシーンは本なのに薄目で読んだもの。
しかし何故か、どこか美しさを感じる。人間の醜い方の欲求をデフォルメして拡大し、矛盾するようだが顕微鏡で見て微に入り細を穿つような。しかも圧倒的な勢いで押し流すような本である。にもかかわらず底の底の深い方に僅かだけ世にも綺麗な清水が流れているような感覚を覚えるのはなんなのか。
比較的マイルドな方の平山夢明しか読んでいなかったので、これがこの人の有名なアレねと思いながら読んでいた。完全に閲覧注意のヤベェヤツだ。青少年は決して読んではいけないと思いつつ読んでいたのだが彼の「恐怖」についての本について書いた自分のレビューを読み返してウーンとなったのである。
人間には見ないほうがいいものというのがある。しかし、それから目を逸らすことを許されない人間は、より見てはいけないものを見ることでショック療法するみたいな内容があった。ではカンフル剤だと思ったのは間違えではないんだな。
何にせよ平山夢明の本気の頭の中は決して見てはならない。がしかし見てはならないと思うということは見たいということなのか。自分の内面を強引に振りかえさせられるような本であった。あゝ怖かった。
まったくの余談だがこの本を読んでいるときに平山夢明と漫画家の平野耕太のどっちがどっちだったか一瞬わからなくなった。名前に平らと入っているのにどちらもまったく内容が平らかでないところが名は体を表すってのは嘘だなと思いつつ読了したのであった。
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