ヘンリー・チナスキーは胸より尻派である。この自伝的作品の著者のチャールズ・ブコウスキーの画像を見るとダメなヘミングウェイみたいで、酒浸りの津川雅彦のようでもある。ええ、そりゃおモテになったでしょうね。
もうホント、この男、あの尻がイイとか酒飲みてーしか言わない。仕事は2週間くらいごとにクビになるのがルーチンです。
女と酒と、たまのウンコの話しかしない。生産性?何それ食べられるもの?ってなもんだ。
体が丈夫だよなあ。普通これだけ呑んだら先に身体が駄目になるけど、チナスキー同様に呑んだくれだったというブコウスキーの死因は白血病。肝臓はなんとかなったのか、、
作家と依存症ってのは切り離せないものなのか。それぐらい執着しないと物書きにはなれないのか。
いやそんな高尚なもんじゃないな。この男は流され気味に気持ちいい方に進んでいってるだけのようだ。何もかも上手くいってないように見えるけど、上手くいってるいってないという感覚さえ希薄だ。
どちらかというと出てくる女の人たちの方が生命力に溢れ、素敵に自分勝手で魅力的だ。逞しく図々しい女たちは、チナスキーを愛し、彼がいよいよダメになるとさっさと見捨てて去っていく。
人生こんなふうになるはずじゃなかったとか、もっといい女がいれば違うとか言ってるが、じゃあ何かしてるかと言えば何もしない。
常に労働者の立場に立って云々という見方もあるようだが、それもピンとこない。だってこの男に生涯一労働者としてとかそんな意識は感じない。ただちょっと文章書いて仕事に出来たらなあと夢見たまんま。
ごくたまに素敵な文章が紛れている。ダメがダメにまみれていて基本的にナイわ~と思うのだが、たまーにアリだなと思わせられる。
ダメだっていいじゃないとは言わない。しかし長すぎるモラトリアムはすでにモラトリアムでなく生き方になり、それなりに魅力になるという魔訶不思議な現象を見たように思う。