熊と踊れ(上)(下)

キングのシャイニングとゴールデンボーイを混ぜたような小説だな。家族間の暴力によるトラウマと、悪事のエスカレート。

暴力的な父親に、酷い目に遭わされたぜ。よーし!誰にも支配されないために、銀行強盗して金を稼ぐぜ!!そこ近いの?それとそれ、結構遠いと思うんだけど。

 

スウェーデンで実際に起きた、連続銀行強盗事件を元にしたフィクション。

スウェーデンと言えば、福祉、豪華な刑務所とイケアのイメージくらいしかありません。後は、水曜どうでしょうで、大泉さんがこわれた北欧の国。

刑務所絡みのシーンやエピソードが割とあって、はは〜ん、これが設備の良いので有名な、あの北欧の刑務所ね、などと関係ないところで想像力が働いた。

生活水準的には、登場人物たちは強盗する前から、決して底辺という印象ではない。大工仕事をする技術があるし、学校に進学する夢も持っている。友人も彼女もいる。

だから、やはりこれは暴力にさらされた人が、どういう思考回路におちいるかという話なんだろうな。

主人公兄弟たちは、実は父親に直接的な暴力は受けていない。暴力的な父親のすることを見て、暴力的な行為を強制されて、コントロールされて育った。

この父親が子供たちに強いたことは酷すぎて、言葉もない。

自分たちは、父のようにはならないと思って、選んだ仕事(?)が銀行強盗。

殺してないからと言いながら、事件に巻き込んだ人には、暴力的な手段で深い心の傷を与える。酷い目にあった人が、自分からまたそこに近寄っていってしまう、あれの状態なんだろうな。

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