面白くて一気読み。放火殺人が疑われる現場で見つかった焼死体の体内には、異様なものが蠢いていた。まあ、虫なんですけどね。嫌いな方にはたまらない内容でしょうね。
虫を使った犯罪調査をする推理小説って、海外の小説だと時々出てくるけど、日本産のは読んだ記憶がなかった。解説読むと結構国産のものもあるらしい。
虫もグロいのも得意じゃないけど、それほど嫌悪感なく読める。怖いもの見たさもあるけれど、よく考えれば本作では虫は嫌悪の対象ではなく、捜査の救世主だものね。登場人物の赤堀のように、可愛いとまでは思えないけれど。
昆虫学者の赤堀が、思い切りよく変人で、嘘がなく、プロ意識が高いところがいいな。実は女性としての色気がちゃんとあるところもいいね。
刑事の岩盾が偏屈なのかと思いきや、意外と柔軟で、有能なものは門外漢や若手でも認めるところ、渋さも含めてなかなかよい。こういう人タイプです。
サスペンスとしての構成やテンポもよく、後半の盛り上げにはページをめくる手が止まらず、一気に読み終えた。
読みたいと思ってた「テーラー伊三郎」も同じ作者か。この人いいな。これは続編読むの決定のシリーズ。