闇の奥

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美しい文章なのだが何を言いたいのかよくわからんなと思いながら読んでいた。映画 「地獄の黙示録」の原作であるコンラッドの「闇の奥」である。

 

主に主人公マーロウの語りで進められる口語体の文章は自己主張、自己顕示欲が剥き出しであるにもかかわらず、なぜか整然とした美しさを感じる。

 

コンラッドは、落語に似ていると言われているというディケンズの文章に幼少の頃から親しんでいたそうだ。早口言葉のように節づいたテンポの良い口語体で綴られる本作はさもありなんと思わせられる。

 

それにしても、呼ばれてもいないのにわざわざ人の大陸に出向いて行って象を大量に殺して象牙乱獲しておいて、現地の土地や人間は不気味だとかなんとか勝手に怖がって。いつもながら帝国主義の時代のこの辺の話はなんて迷惑な話だと辟易しながら読んでいたのである。

 

自分の国では成功できない人間が、野蛮で不潔で醜悪で文明に遅れていると思っている場所に自ら行って、現地でイキって出世できるかと思いきや調子に乗り過ぎて破滅したって話か。

 

身もふたもない読み方をしてしまい、これから何を読み取れと言うんだと読書迷子になっていたところ、この本は解説が非常に面白かった。

 

なるほどこれはスラムツーリズムの一種なのか。《他者を自分のヒエラルキーに隷属させる帝国主義の枠組みは、レジャー化されていたのである。黒人や奥地を商品として消費する態度は「スラム見物(slumming)」という形で国内の貧窮にまで及んだ。この「わが心に潜む帝国主義」を、人々の意識の表面に浮かび上がらせた爆弾が『闇の奥』だったのだ。》

 

勝手に設けた仮想敵に対して果敢に戦いを挑んでつもりでいるかのような滑稽を表現するのに、クルツをドン・キホーテ、マーロウをサンチョ・パンサに例えるあたり秀逸である。そこまでの読み取りは私には到底出来なかった。やはり教養のある人の解説というのは非常に良いものだ。

 

本編より解説が気になってしまったので解説者のコンラッド批評本を読むことにしよう。

 

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