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1ページ目を読んで、あ、これ好きなやつだとわかった。これは面白い。

上質なミステリーである。スタイルの違う6つのストーリーは、長編ながら飽きさせず、エンターテイメント性に優れている。クワンやローをはじめとするキャラクターはとても魅力的で、素直に、これは映画化してほしいと思える。近現代の香港を舞台にした社会派ミステリー。

2段組か〜。こりゃ結構かかるかなと思って読み始めた。しかし、杞憂はすぐに、この面白いのを、しばらく楽しめるぞという喜びに変わった。

上質なミステリーには、誰の目から見ても明らかな名探偵が必要だ。クワン警視は、香港警察のCIA的な存在であるCIB(操作情報室)の課長を務め、「情報室の魂」と呼ばれた。

『頭脳明晰、独断専行、慎重細心……そんな矛盾する特質を兼ね備えたクワンは、いっそ「怪物」と呼ぶべき存在だった。クワンは1960年代、文化大革命の影響下に巻き起こった反英暴動を目の当たりにし、70年代、廉政工所[汚職摘発委員会]設立と警察汚職事件の騒乱をいなし、80年代に荒れ狂った凶悪犯罪の時代をねじ伏せ、90年代の中国復帰に伴う国家主権移行を見届け、なお大きく変容しようとする2000年代香港社会を見守りながら、警察官として100件を超える事件を黙々と解決してきたのだ。』

ずば抜けて頭と記憶力が良く、目的のためなら手段を選ばず、しかし思い込みや印象に縛られることなく、あくまでも慎重に捜査を進める。天才肌ですねえ。やはり名探偵はこうでなくちゃ!(探偵じゃなく警察だけど)

いわゆる「すべてわかりました。犯人はあなただ!」のお約束な感じが、いっそ気持ちよくエンタメ性を高める。

あの時のあれが、こーなって、あーなるから、なるほどコイツが犯人なのねと。ワトソン君的な存在の若手刑事のローと一緒になって、スゴイねーと感心しながら楽しめる。

手段を選ばないとしながらも、クワンは人の命が何より大切、という考えにもとづき行動する。部下の教育や環境改善にも熱心だ。うーん、上司に持ちたいですねえ。

香港の政治的な背景をうまく事件に取り込み、展開されるストーリーは勉強にもなる。地名や警察の成り立ちなど、英国配下の影響を受け、独自の進化を遂げた香港という国ならではの独特の雰囲気は、物語の演出に大きな役割を果たしている。

いやー面白かったなあ。続きがいくらでも書けそうなお話じゃないですか。スピンオフもイケそう。最近読んだミステリーの中で抜群だな。やはり、人気の作品は理由があるね。

ウォン・カーウェイが映画化権を買い取っているらしい。見たいぞー!撮影は進んでいるのだろうか。

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