嫌な予感。第六感。虫の知らせ。そういったものをわりと信じる方だ。その気配に気がつかないふりをして進むと、だいたいろくな目に遭わないように思う。
本書にはそういった嫌な予感が溢れている。不穏なのである。穏やかそうな顔、堅実そうな顔、真面目そうな顔をしているものが、あるときふと様子を変える。
それは日常の中に潜んでいて恐ろしさを増す。派手に凄惨なことが起きるわけではないが、気がついたら後ろにいるような怖さは、濡れやすい小雨のようにじわじわと浸みてくる。
「夜警」でダメなやつは何やってもダメなんだなと身にしみて。
「死人宿」で逃れられない闇の匂いを嗅ぎ。
「柘榴」でこういうのも親の因果が子に報いっていうのかねと思いつつ。
「万灯」でそうきましたか!と膝を打ち。
「関守」であまりの守りの固さに背筋を凍らせ。
「満願」であなたは幸せになれたのですか?と問いかけた。
ミステリーとして素晴らしく、話のバリエーションも広く飽きさせず、怖がりの怖いもの好きのワタクシはビクビクしながら、2時間くらいでつい一気読み。
山本周五郎賞受賞作、「このミステリーがすごい!」などいくつものミステリーランキングで1位になった本はやはりすごかった。
『あれはホンモノだって気がするんだ。』あの人はそう言っていたのに、信じなかったばっかりに。やはり第六感は大切にしないといけない。さもないと、、
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