辺境メシ

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行き当たりばったりにかけては右に出るものはいない高野氏。持ち前の行動力で渡り歩いた世界中で、いろんなものを食べる。日本人がゲゲっと思うものから、現地の人がアタシそんなもの食べないよと言うものまでなんでも食べるのだ。

読んでいると世界の珍味奇食と言われる多くが、限られた食糧の中で効率よく栄養を吸収するため、工夫して食べられているものであるように思う。他に食べるものがあったら、電気事情が発達して各家庭に冷蔵庫があったら、それ食べるんだろうかと思ったりもする。

しかしながら、食品衛生に神経を使う人を連れていったら卒倒しそうな環境で作られる料理の中には、非常に美味しそうなものがいくつもあった。便利になるのと引き換えに、食べられなくなってしまったおいしさがきっとあるのだろう。

この手のメニューは精力増強のために、主に現地のおっさんたちが食べる場合も多いようである。なんとなしに性的な雰囲気を感じるメニューが散見されるのはそのためか。

なんだよ、「お婿さんの卵」って。その目的のためなら、現地の人にとっても奇食とされているものでも食べようとする男性の執念が面白コワイ。

そして、いつもの高野節の切れ味は今回も冴え渡る。

「虫は味がないようで、実は密度が濃い。量を食べると胃の中で虫濃度が飽和してくる。」

虫を食べたことがあるが、確かに同意である。なんというか、一気に大量に食べてはいけない食べ物な感じなのである。いくらやたらこなどの魚卵のように核がたくさんあるというか。いや、一度にたくさん食べる機会は、まだ日本にはそれほど多くないと思うので大丈夫だとは思うが。

「発酵の匂いにはいつもどこか郷愁をそそるものがある。しかも臭ければ臭いほどに。」ときどき、くさやとニンニクをストーブで焼いて食べていた父親を持つ女性。「食べた次の日に父が出たあとのトイレに入ると猛烈に臭くて、それを思い出しました。ちょっと懐かしい。」

なんの話かと思いきやスウェーデンの世界一臭くて有名な缶詰、シュールストレミングの食後の感想である。

バラエティなどでは罰ゲームで使われてしまうあのシュールストレミングを、ノスタルジーの対象として扱ってしまうあたりが流石なのである。

確かに昔の田舎に行った時は、家々の漬物の匂いや味噌や醤油の匂いなど発酵の匂いがあったような気がする。しかし、よく考えるとお父さんのウ○コの匂いをそこに混ぜていいものなのか。ツッコミを迷うところである。

「人間にはアホの遺伝子(!?)が埋め込まれており、一つの価値観が定着すると、その社会集団の中ではどんどん過剰な方向に行くことがる。」

小さければ小さいほどいいとされるトルコのマントゥは2.5センチ四方の皮に耳かき一杯ほどの具を包んだものだ。本著の中では素直に美味しそうだと思えるいくつかのうちのひとつだが、なぜそんなに小さくすることにエネルギーを使っているのか今ひとつ理解できない。

基本的に閲覧注意の本である。自分のことを割となんでも食べる方だと思っていたがとんでもない。読んでいて食べてみたい、これ食べられるかもと思ったものはあまり多くなかった。読む人によっては明確に気分を害するだろう。

しかし、それでも興味深い。世界は多様性に満ちている。しかし、1番変わっているのは今回もやはり高野氏だった。

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