テスカトリポカ

テスカトリポカ
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「犬の力」を読んだときにメキシコって国とは絶対喧嘩したくないと思っていたがよく考えてみれば我が国の歴史にしたってなかなか血生臭く残酷な話は多いわけで、おまけに死者の日と同じように死んだ人が帰ってくるお盆というお祭りまである。

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コンビニ人間

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読んでいると突然変異で先祖返りしてしまった野生の生き物がうっかり人間社会に紛れてしまったのを見ているような感覚に陥った。野生の生き物が幸せを追求するために生きているのではなくただ生きるために生きているように、主人公はあるがままの自分を理解して周囲との齟齬があるのを理解しながらもそのまま生きるしかないのだ。

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黒武御神火御殿

黒武御神火御殿
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久しぶりの宮部みゆきである。三島屋変調百物語六之続。語り部がおちかから富次郎に変わっている。この手のシリーズで主役が変わるってどうよ?あんまり聞いたことないんだけどと思っていたがそこは宮部みゆきさんである。違和感を感じさせずに物語は進む。

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聖の青春

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人間に公平に与えられているのは時間だけであり、肉体・環境などはことごとく不公平なものである。そのことに気づかなければ不公平が無かったことになるなら、気づいてしまうことこそ不幸なことである。しかし限られた不公平な状況の中でこれほど命を燃やす人がいるとなるとどうなのだろう。もしかすると「人間は公平でない」という概念は、ヒトが手に入れた中で最も不幸で最も重要なものなのかもしれない。

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小川洋子と読む 内田百閒アンソロジー

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内田百閒の小説には名前を説明されないものがたくさん出てくる。ある人はそれを恋と呼ぶかもしれない。恐怖と呼ぶかもしれないし、郷愁と呼ぶかもしれない。もしくはなんらかの病と呼ぶかもしれない。

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