羅生門・鼻

世の中の多くの人が知っていることではあるだろうが、芥川龍之介の天才を確認した。削ぎ落として削ぎ落としてありながらエッジが効いた文章は艶やかであり、平安時代を舞台装置に寓話性を持たせた内容は極小の分量にして最大限の効果を持っている。

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鯖好きとしてこのタイトルは読まないわけにはいかないと読んでみたが面白い!またもや内容確認しないで読み始めたがグイグイ読ませる。匂い立つような気持ち悪い気配と抜群の読み応えがギリギリのラインでせめぎ合うハードで骨太なノワール小説だ。

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騎士団長殺し

久しぶりの村上春樹である。この人の本は昔からそうであるが、とにかく貧乏人が出てこない。そして、愛情を感じてるんだかそうでもないんだかよくわからない(なんなら行きずりの)相手とすぐにセックスをする。こんな本を思春期に読んで、こんな人間になりたいと思ったり、こんな男(女)と恋愛したいとか思うと、ろくなことにならない。

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シャトゥーン ヒグマの森

満を辞して(笑)読む羆三部作の3冊目である。偉大なる吉村昭先生の「羆嵐」がある以上、羆を使って小説を書こうと思う作家には最初からかなり高いハードルが設けられることになる。

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