最近立て続けに、講談、浪曲、落語を観る機会に恵まれた。
某グルメレポーター的に言えば、この物語は不思議なお話の宝石箱なのである。妖が人を、人が妖を、人が人を、妖が妖を大切にする気持ちが宝物のように詰まっている。
溢れ出る昭和臭と松本清張感。違う。松本清張や佐木隆三がこの時代の空気を切り取るのが上手かったのだ。もっとも、松本清張の古い因習やしがらみを舞台に描く虚構の事件と、佐木隆三が主観を述べず、事実を積み上げて描く実際の事件をモデルにした小説は正反対のものであるけれど。
ああ、苦手だ。この、いることもいらないことも何もかもが過剰な人々。すぐ喧嘩して取っ組み合いになったり、怒って怒鳴り散らしたり、興奮して泣いたり、喜んで歌ったり踊ったり。
まいどお馴染み任侠シリーズ。3作目の舞台は病院。心配性で苦労性のヤクザ、日村。今回も組長の気まぐれ文化活動熱に振り回され、病院の再建に挑むことになる。さらに今回は地域からの暴力団排斥の動きで、阿岐本組も立ち退き運動の渦中に晒される。悩める日村の行方はいかに。
人が死なないミステリーシリーズで初めて人が死ぬ話。そしてシリーズ初の長編。という話になると、今までの登場人物だとちょっとゆるいというか、もう少しキレがほしかったな。