騙し絵の牙

ご多分に洩れず大泉洋を大好きな私としては、彼を当て書きした小説があると知っては読まないわけにはいかないのである。彼が言いそうなフレーズがバンバン飛び出しファンにしてみれば脳内再生が非常に容易い。作者はよほど大泉洋を分析したのだろう。

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読み口はあくまでも軽やかであり、いっそクセが少ないとすら言える。クセのある人はたくさん出てくるし、主題も軽いものでないのに重たさ感じないのは、この本が人でなく人が繋がる流れを主体にしているからか。

 

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そしてミランダを殺す

面白い!この本がミステリーとしてとても上質でありつつどこか痛快さも兼ね備えているのは、一見か弱い女たちが財力があったり力強いはずの男たちをいいように手のひらで操りに操りまくっているからだ。まあ、この女たちのたくましさに比べ、男たちの情けないことよ。 続きを読む

孫と私のケッタイな年賀状

生きていると、大体の人には大なり小なり季節ならではのイベントというものがあるだろう。お正月、衣替え、夏休み、お盆、お彼岸、クリスマス、大掃除、年越し。

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なに?!この人間の業を煮詰めたようなファンタジー。胃もたれしすぎて消化できない。愛欲、性欲、食欲、事業欲、支配欲、恐怖、後悔、懺悔、憧れ。そんなものを不思議の箱に入れてデカイ棒でグリグリグリグリとかき混ぜたら、ハイ!   出来上がり、ってそんなもん飲み込めるかー! 続きを読む

残像に口紅を

大抵の小説は主人公に理不尽に障害が襲いかかり、そのことを克服することでドラマが生まれるわけだが、この小説は一味違う。なんと理不尽な状況に主人公を追い込むのは主人公自身なのである。 続きを読む

東京會舘とわたし 上・下

 

よく建物は人がいなくなると急に傷むと言われる。その意味では東京會舘は長い時間をかけて多くの人の営みが詰まっている。いくら時間が経っても、二度の建て替えを経たとはいえ、古びることはないだろう。

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おらおらでひとりいぐも

オペラみたいな小説だ。壮大なひとりオペラ。

語られる東北弁が雰囲気を出し、身のうちに抱える自分自身が小腸の絨毛突起のようにふわりふわりとたゆたいながら自らに語りかける。 続きを読む