奉教人の死

切支丹物というジャンルがあるのか。またもや、内容をろくに確認しないで読み始めて気がついた。芥川龍之介のキリシタンをテーマにした短編集である。

 

芥川がキリシタン物?と違和感を感じながら読み進めるが、そこはやはり素直に信仰の尊さを描いたりなんかはしないのである。

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国宝 上・下

本を読むとき、レビューを書くために気になったエピソードやキーワードをメモしながら読むことが多い。この本は上巻の最初こそ少しメモを取ったが、下巻からはまったくそんなことをする気にならなかった。

 

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騙し絵の牙

ご多分に洩れず大泉洋を大好きな私としては、彼を当て書きした小説があると知っては読まないわけにはいかないのである。彼が言いそうなフレーズがバンバン飛び出しファンにしてみれば脳内再生が非常に容易い。作者はよほど大泉洋を分析したのだろう。

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読み口はあくまでも軽やかであり、いっそクセが少ないとすら言える。クセのある人はたくさん出てくるし、主題も軽いものでないのに重たさ感じないのは、この本が人でなく人が繋がる流れを主体にしているからか。

 

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孫と私のケッタイな年賀状

生きていると、大体の人には大なり小なり季節ならではのイベントというものがあるだろう。お正月、衣替え、夏休み、お盆、お彼岸、クリスマス、大掃除、年越し。

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残像に口紅を

大抵の小説は主人公に理不尽に障害が襲いかかり、そのことを克服することでドラマが生まれるわけだが、この小説は一味違う。なんと理不尽な状況に主人公を追い込むのは主人公自身なのである。 続きを読む

東京會舘とわたし 上・下

 

よく建物は人がいなくなると急に傷むと言われる。その意味では東京會舘は長い時間をかけて多くの人の営みが詰まっている。いくら時間が経っても、二度の建て替えを経たとはいえ、古びることはないだろう。

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おらおらでひとりいぐも

オペラみたいな小説だ。壮大なひとりオペラ。

語られる東北弁が雰囲気を出し、身のうちに抱える自分自身が小腸の絨毛突起のようにふわりふわりとたゆたいながら自らに語りかける。 続きを読む